カリキュラム

カリキュラムの概要

ライフイノベーションを推進する人材を育成するためには、ライフサイエンス分野におけるアンメットニーズ(未充足のニーズ)をふまえながら、大学において学術研究を推進することが重要である。そのために、本プログラムでは、つくばライフサイエンス推進協議会に所属する民間企業および独立行政法人研究所が、自ら授業計画を立案し、積極的に学生の研究教育に参画する事により、学生が、社会のアンメットニーズを学習し、学術研究の背景及び意義を認識しながら学術研究を推進することを可能とするのが、本学位プログラムの特徴である。 ライフイノベーションを推進するために、生物情報、食料革新、環境制御、生体分子材料、病態機構、創薬開発に関する基本的概念を全て修得し、従来の枠組みでは扱えない分野横断的な俯瞰力を修得するための教育課程を下記の通り実施する。また、イノベーションの中では自然科学に基づく授業とともに社会科学的視野も求められるため、関係する科目を必修科目として設置する。

博士前期課程のカリキュラム

専門科目:共通基礎科目

1)各領域の概論

異なる学問的背景を持つ6領域の学生が分野横断的かつ異分野融合能力を身につけるために、実際に医療の現場で活躍する医師による「医学概論」、実際に医薬品を開発、製造している製薬企業教員による「創薬概論」、食品産業の研究開発を行う企業、独立行政法人による「食品科学概論」、世界でも有数のバイオリソースを保有する理化学研究所による「バイオリソース概論」、これまでの生命の歴史を学ぶための「自然史概論」を学修する。

2)ライフイノベーション創出のための社会系科目

イノベーション創出のためには、社会的な要請を把握して、それを研究に反映させることが重要であるが、実験系を専門とする大学院生は、食料事情や未充足の医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)など、自らの研究と関連する分野の社会のニーズをあまり学習する機会がない。また、研究成果の製品化に伴い、臨床試験、特許申請や知財の管理は、研究者にとって必須のスキルとなっている。さらに、医薬品、食品、環境問題などに関連する政策が科学的な根拠に基づいて決定されていることを考えれば、自らの研究がどのように政策や法制定に影響を及ぼすかを学習する必要がある。したがって、「医薬品・食品マネジメント」、「レギュラトリーサイエンス」を共通科目として学修する。

3)ライフイノベーションチーム型演習

企業においては、主体性を持ちながら、各部署との調整をしつつ、チームで研究を展開することが必須となっている。しかしながら、これまでの大学院では主に個人型の研究で、チームワークで研究を行う機会が少ない。そこで、分野の異なる複数の教員による指導を受けながら、様々な学問的背景を持つ学生によるグループワークによって、ライフイノベーション分野における未解決な課題を設定し、その課題を解決するための研究計画を立案し、成果を発表する演習を導入する。討論を深めるために、指導教員が主導して、専門的な質疑を組み込む。

4)情報技術(IT)能力

ライフイノベーション分野では、コンピュータシミュレーションや大規模データを扱う機会が今後さらに増えると予想され、IT能力は必須となっている。そのために、システム情報系教員による、講義と実習を組み合わせたバイオインフォマティクスを必修とする。

専門科目:プログラム領域必修科目

ライフイノベーション学位プログラムでは、6つの基軸領域:生物情報、食料革新、環境制御、生体分子材料、病態機構、創薬開発の各領域から専門性の高い3科目を提供する。

1)生物情報領域

「遺伝子解析と機能ゲノミクス」など、生物情報に関する専門力を養う授業科目を提供する。

2)食料革新領域

「食品機能学」など、食品科学に関する専門力を養う授業科目を提供する。

3)環境制御領域

「生育環境と機能性成分」など、環境科学に関する専門力を養う授業科目を提供する。

4)生体分子材料領域

「バイオマテリアルサイエンス」など、生体分子工学に関する専門力を養う授業科目を提供する。

5)病態機構領域

「疾患の分子細胞生物学」など、生命医科学に関する専門力を養う授業科目を提供する。

6)創薬開発領域

「創薬化学概論」など、創薬に関する専門力を養う授業科目を提供する。

専門科目:研究指導等に関する授業科目と修士論文等

本プログラムでは、学生は、指導教員の指導のもと、研究活動を行い、修士論文の審査を受ける。社会においては、自ら社会に潜在する課題を発見し、それを解決するための研究テーマを設定し、それに向けて研究計画を構築できる人材が必要とされている。

修了要件等

  • 基礎科目14単位(共通基礎科目)、大学院共通科目1単位、専門科目:各自の所属領域の専門科目3単位及び共通専門科目12単位、合計34単位修得
  • 修士論文の審査及び最終試験に合格

博士後期課程のカリキュラム

基礎科目:共通基礎科目

「人を対象とした研究:基盤編」
ライフサイエンス分野の研究活動を行うにあっては、人を対象にした研究に関する倫理規範に精通していることが必須であり、人を対象にした研究における責任ある研究行為について学ぶ。

「博士後期インターンシップ」
国内外の研究機関、企業、行政機関、本学位プログラムに参画する研究室において研究活動や就業体験をし、新たなスキル・知識を修得するだけなく、社会貢献に対する意識、専門分野外の研究者と協働できる能力、分野外での課題設定能力を養い、社会人としての実践力を修得・拡充する。

「博士後期ライフイノベーションセミナー」
海外の協力教員とのインタラクティブなやり取りを通して、ライフサイエンス分野におけるイノベーションに貢献する研究者の資質、研究者に必要なプレゼンテーション、ディスカッション、コミュニケーション能力などを獲得する。

専門科目:研究指導等に関する授業科目と博士論文等

「博士後期特別演習」において、各基軸領域における最新の原著論文や研究情報のプレゼンテーションや議論を通じて、ライフイノベーション創出へつながる理論と実践に関する研究手法を学ぶ。

「博士後期特別研究」において、各基軸領域におけるライフイノベーション創出のための未解決課題を発見し、それを解決するための研究計画を立案する。さらに、研究を遂行し、学会報告、原著論文作成を通じて、研究方法を学び、博士論文を作成する能力を修得する。

修了要件等

博士後期課程では、前期課程で習得した分野横断的な俯瞰力を活かした実践的な研究を遂行し、専門領域の研究を通じて、国際学会における学会発表並びに査読付き英語筆頭論文の発表を達成する。

  • 基礎科目:共通基礎科目必修3単位、専門科目:共通専門科目18単位、大学院共通科目1単位、合計24単位修得
  • 博士論文の審査及び最終試験に合格